お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
絶対の自信。強引な性格は、三カ月前から変わっていない。

今、目の前にいる『千堂柊一朗』は、あの日、私がすべてを捧げた『穂積柊一』と名前と肩書きこそ違えど中身は一緒で。

「……もしかしたら、五十パーセント下がって、〇パーセントになっちゃうかもしれませんよ……?」

「澪の場合は、いざとなったらおいしいものをちらつかせれば、五十パーセントくらいすぐに上がりそうだから」

「なっ! 私、そんなに食いしんぼうじゃありませんから!」

バッと顔を上げると、彼がうっとりと私を見下ろしていて、毒気を抜かれてしまった。

そんなにうれしそうな顔で見つめられると、あしらうことも出来なくなってしまうじゃないか。

「……澪」

艶めいた声で私の名を紡ぎ、宝物のように抱きすくめる。胸の奥底をくすぐられて、たまらず彼の体を抱き返してしまった。

体を触れ合わせる心地よさを思い出してしまい、これ以上意地を張り続けることも出来なくなってしまって……。
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