お見合い求婚～次期社長の抑えきれない独占愛～
「うわぁ、美味しそうなお肉！」

「やっぱり澪は肉だった」

「仕方ないじゃないですか！　これを見てテンション上がらない方がどうかしてますよ」

私と柊一朗さんは、鉄板を挟んで対面に座った。

最初は店員さんがつきっきりで食材を焼いてくれていたのだが、彼はふたりきりになりたいからなんて言って、店員さんを追っ払ってしまった。今では自分でトングを持って焼いている。

鉄板に並べられたぶ厚いお肉を、ひっくり返すのは彼の役目。私はお皿を抱えてひたすら待つのみ。

「そろそろ焼けたんじゃないですか」

「いや、さすがに早すぎるだろう」

「柊一朗さん、結構神経質ですね」

良質な牛肉だからレアがおいしいですよ、とさっき店員さんが言っていたのだ。

私が箸を伸ばすと、コラコラとたしなめられてしまった。ちゃんとほどよく焼いてあげるから、いい子にして待っていなさい、と。

「澪は大雑把すぎ。お腹壊すよ？」

彼は表面をしっかりと焼いて私のお皿に置いてくれる。

ちょっとウェルダンすぎじゃない？　とも思ったけれど、いざ食べてみると真ん中はまだしっかりと赤く、ほどよい焼き加減で、なるほどちょうどいい、と唸る。
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