お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「柊一朗さん! これ、すっごくおいしいです! 食べてみて!」

私が先に大きなお肉をとってしまったから、彼の分が後回しになってしまった。

なにも食べずに焼かせるのもかわいそうなので、私のお肉を半分切って、彼のお皿に置いてあげる。

「あーん、してくれないの?」

「ちゃんと自分で食べてくださいよ」

「肉焼いてるから、手が塞がってるんだよ」

「言うほど忙しくもないじゃありませんか……仕方ないですね」

肉番は手を動かすよりも見ている方が断然長く、『あーん、して』は便乗して甘えているだけ。

でも……まぁ、焼いてもらっているわけだし、あしらうのもかわいそうかも? 

私は仕方なく、彼のお皿のお肉をさらに細かく切り分けて、あーんと開けられたお口に放り込む。

彼はもぐもぐと咀嚼しながら「確かに。これはうまい」と目を輝かせた。

調子に乗ったのか、もう一度口をあーんと大きく開けて、雛鳥のごとくお肉を待つ。

少々面倒くさくなって、少し大きめにカットしたお肉を口に放り込むと「雑!」と文句を垂れた。

それでもおいしかったようで、もう一枚同じお肉を鉄板へ並べている。
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