お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「雉名、結構顔がいいでしょ」

「はぁ、まぁ」

「その上、ぶっきらぼうなくせに親切なところがあって」

「ああ、なんだかわかります」

「澪は、押しが強い人に弱いみたいだし」

「……えっ!? いや、そんなことは……」

「だいたい、俺は澪と普段離れているけれど、雉名は毎日一緒にいるわけだろ。それだけでアドバンテージだ」

「……まさか、雉名さんに嫉妬しているんですか?」

「今さら気づいたの?」

彼はおもむろに立ち上がると、私の正面の椅子から斜め横の椅子に移動してきた。

体をこちらに傾けて、私の髪に手を伸ばす。思わずホタテの存在を忘れてドキリとしてしまった。

「雉名のことは興味ないって言って」

「……雉名さんのことは、興味ないですよ。本当に」

「あと、俺のこと、愛してるって言って」

「えぇ……っ! それは関係な――」

「澪」

彼は椅子から上半身を乗り出して、私の後頭部に手を滑らせた。そのまま、グイっと顔を引き寄せて、唇の距離を近づける。
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