お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
ひどく前時代的な会社だった。古くからの慣習に囚われ、上は下に虐げられる、崩しようのないピラミッド構造が存在していた。

パワハラ、セクハラなんてしょっちゅうだったし、お尻を触られる程度なら、私だってされたことがある。

みんな文句を飲み込んで我慢してきた。……それが普通だと思っていた。

けれど、同期の彼女の場合は、我慢できるレベルをはるかに超えたセクハラをされていて、ある日、私に泣きながら相談してきたのだ。

生活のために、会社を辞めることはできない。けれど、こんな毎日は耐えられない。

私が力になれずオロオロとしていたから、彼女を余計に苦しめてしまったのだろう。

「私は……自分が許せなかったんです。彼女から相談されていたにも関わらず、なにも出来なくて……」

悔しくて、悲しくて、ひと滴、涙が頬を流れ落ちた。

彼女を追い込んだのは私かもしれない。私がなにも出来なかったから、彼女は自殺を考えるほどに絶望してしまったの……?

彼女にどんな贖罪が出来るかを必死に考えて、被害者を集めて訴えることを決めた。

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