お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「君が彼女たちの指揮を執っていたのは、罪悪感からだったんだね。過去に被害を受けた女性たちをひとりひとり説得して回り、特に被害の酷かった五人を集めて訴訟を起こそうとした。もみ消されることをわかっていたから、あらかじめマスコミにも情報を提供した」
「結局、お金でもみ消されてしまいましたけどね」
正義が勝つなんて、甘い幻想だ。現実には、そんな綺麗ごと、通用しなかった。
テーブルに置いていた手にきゅっと力を込めて握る。
事件を隠蔽しようとした日千興産が許せなくて、会社を辞めたのは事実だ。けれど、見方を変えればなにも出来ずに逃げ出したとも言える。
「私には、なんの力もありませんでした……」
「それは違う」
柊一朗さんの手が私に重なり、冷えた指先を温かな熱で包み込んだ。
「圧力にも負けず、最後までたったひとりで正しいことを主張した、澪の強さを誇りに思う」
私の手を握る力をきゅっと強くして、彼はいつにも増して真剣な眼差しを私へ向ける。
「でも、私は自分の勤める会社を貶めました。柊一朗さんや幹部の人たちに恨まれても仕方がないと――」
「それは違う。君は正しかった。間違っていたのは俺たちの方だ」
険しい表情の彼――その瞳には、強い情熱が宿っていてハッとさせられる。
「結局、お金でもみ消されてしまいましたけどね」
正義が勝つなんて、甘い幻想だ。現実には、そんな綺麗ごと、通用しなかった。
テーブルに置いていた手にきゅっと力を込めて握る。
事件を隠蔽しようとした日千興産が許せなくて、会社を辞めたのは事実だ。けれど、見方を変えればなにも出来ずに逃げ出したとも言える。
「私には、なんの力もありませんでした……」
「それは違う」
柊一朗さんの手が私に重なり、冷えた指先を温かな熱で包み込んだ。
「圧力にも負けず、最後までたったひとりで正しいことを主張した、澪の強さを誇りに思う」
私の手を握る力をきゅっと強くして、彼はいつにも増して真剣な眼差しを私へ向ける。
「でも、私は自分の勤める会社を貶めました。柊一朗さんや幹部の人たちに恨まれても仕方がないと――」
「それは違う。君は正しかった。間違っていたのは俺たちの方だ」
険しい表情の彼――その瞳には、強い情熱が宿っていてハッとさせられる。