お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「俺も。やっと謝ることが出来て、ホッとした」

彼は、私の頬に残っていた涙の筋をそっと指で拭い、ふんわりと微笑んでくれた。

その笑顔が、私の心に広がっていた闇を取り払い、明るく照らし出してくれる。

わずかに残っていたパスタをふたりで半分こしたあと、私たちは店を出た。

彼は当たり前のように私の手をとり指を絡める。

日中よりも、ぐっと気温の下がる秋の夜。

風は冷え冷えとして寒いけれど、繋がれた手は温かくて、彼に守ってもらえているような気がした。

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