お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
私の実家から徒歩五分のところにあるパーキングに、彼は車をとめた。
どうしてわざわざパーキングに? と尋ねると、澪と手を繋いで歩きたかったからだよ、と甘い笑みを浮かべられ、思わず頬が熱くなった。
「二年前、一度だけ俺と会話したこと覚えてる?」
「え?」
歩きながら、おもむろに彼が切り出した。
やはり私と柊一朗さんは、過去に会話を交わしたことがあるようだ。申しわけないことに、全然覚えていないのだけれど。
ぶんぶんと首を横に振ると、彼は自身の左頬を指差して笑った。
「平手打ち。覚えてない?」
私は固まった。それから途切れていた記憶の道筋が繋がりハッキリと思い出した瞬間、サッと青ざめた。
「……あ、ああ!」
人生で一度だけ、男性を平手打ちしたことがある。
忘れていたというよりは、心の奥底に封じ込めて考えないようにしていた、という方が正しいだろう。
どうしてわざわざパーキングに? と尋ねると、澪と手を繋いで歩きたかったからだよ、と甘い笑みを浮かべられ、思わず頬が熱くなった。
「二年前、一度だけ俺と会話したこと覚えてる?」
「え?」
歩きながら、おもむろに彼が切り出した。
やはり私と柊一朗さんは、過去に会話を交わしたことがあるようだ。申しわけないことに、全然覚えていないのだけれど。
ぶんぶんと首を横に振ると、彼は自身の左頬を指差して笑った。
「平手打ち。覚えてない?」
私は固まった。それから途切れていた記憶の道筋が繋がりハッキリと思い出した瞬間、サッと青ざめた。
「……あ、ああ!」
人生で一度だけ、男性を平手打ちしたことがある。
忘れていたというよりは、心の奥底に封じ込めて考えないようにしていた、という方が正しいだろう。