お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「まったく。雉名さんまでからかうなんて」

ため息交じりに、金庫を開け、領収書に記載された金額を取り出そうとすると。

「……気になったって、お見合いがですかね? それとも、立花さんが……?」

上村さんがぽろりと漏らしたひと言に、私はキョトンと目を瞬く。

「それ、どういう意味?」

「もしかして、雉名さん、立花さんのことが好きなんじゃ」

「え? いや、そんなわけない」

思いもよらない推測に、思わず私は苦笑いだ。なにかと上村さんは私と雉名さんの仲を疑っていて、困ってしまう。

「でも、最近雉名さん、すごく立花さんに絡んできません?」

「そんなことない。たまたまだよ」

「でも、私が話しかけても、雉名さん、全然会話してくれなくて……」

「え?」

驚いて目を丸くする。そう言えば、上村さん、雉名さんに話しかけてみようかなぁなんて言ってたっけ。
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