お見合い求婚～次期社長の抑えきれない独占愛～

「……雉名さん、私とはお話してくれないんです。話しかけても、すぐ逃げられちゃって」

……確かに、雉名さんは追いかければ逃げるタイプに見える。会話を広げてくれるような愛想もなさそうだ。

私だって、たまたま柊一朗さんというとっかかりがあったから、会話をするようになっただけで。それがなかったら、きっと話さないと思う。

「ええと……私の場合はたまたま用事があって話すだけだから。きっかけ次第だと思うよ？」

「頑張れば、いつか話してくれるようになりますかね？」

「そ、そうだね、うん、きっと」

これでもし、上村さんの健気な努力を無下にするようなことがあれば、雉名さんをどついてやらなくちゃ。そう心の中で決意し、拳を握りしめるのだった。