お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「そう」

短く頷いてくれた彼だったけれど、全然納得したようには見えない。

運転席のドアを締め、シートベルトに手を伸ばす渋面の彼に、恐る恐る尋ねる。

「……嫉妬、してくれてるんですか?」

冷ややかな眼差しが、そっと私へ向けられる。

思わずびくんと肩を震わせて、それでも目を逸らさずに、一心に彼を見つめた。

「……そりゃあ、嫉妬もするさ」

彼はぽつりとこぼすと、糸が切れたみたいに私の肩に倒れ込んできた。

「しゅ、柊一朗さん!?」

「俺のことは、月に一回会うだけでも億劫なのに、雉名とはこうして毎日顔を合わせているんだろう」

「え……?」

私の両肩に手を置き、甘えるように首筋に顔を埋める。鎖骨に彼の熱い吐息がふりかかり、トクンと胸が鳴った。

驚いた。なんだか目の前の彼が、すごく弱気に見えたから。

「俺が姿を消していた三カ月の間、澪は雉名と付き合っていたの?」

「そ、そんなわけないじゃないですか! あれは雉名さんのジョークですよ!?」

彼の頬に手を当てて持ち上げると、クシャっと目元を歪ませて私を睨んでいた。
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