お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「俺だけだ。こんなにも澪を想っているのは。どんなに愛の言葉をささやいても、君は答えちゃくれない。俺のことが嫌いなら、どうしてキスを拒んでくれないんだ。君がどっちつかずな態度をとるたびに、正解がわからなくなる」

いつもは大きなその背中が、途端に小さく見えて、愛おしい。

私にすがりついてくるその姿は、まるで頼りない子どものようで。

「……私は、柊一朗さんのこと、嫌いなんかじゃないですよ?」

彼の背中を優しく撫でるけれど、彼は私の腕の中でぶんぶんと首を横にする。

「……嫌いじゃないって、なに? そういう態度がどっちつかずっていうんだ」

私の胸に顔を埋めて、くぐもった声を漏らす。

知らなかった。私の素直じゃない態度が、こんなにも彼を不安にさせていただなんて。

「……好きです」

「……とってつけたみたいに、言わないでくれ」

「本当です。大好きです……」

素直な言葉を口にした途端、なぜだがすっと心が軽くなった。

この二週間、ずっと押し殺してきた彼への想いが溢れてきて。
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