お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
彼の親指が私の唇をなぞり、もっと先を求めてくる。

愛おしげに、何度も指で触れながら、この唇を、ほしいと言ってくれている。

どうぞ、と私は、かみしめすぎてぽったりと火照ってしまった唇を、端正な顔の前に差し出す。

「愛してる」

わずかに唇の先が触れ合って、探り探り絡まりながら、次第にその繋がりを強めていく。深く包み込めば蕩けるように柔らかく、眩暈がするほど気持ちいい。

「ちゃんと言わなくてごめんなさい……私も、愛してます」

もっともっととすがりつき、その甘い感触を自分のものにする。

こんなにも積極的に彼の想いに答えようとしたのは初めてだ。

最初に体を重ねた夜でさえ、彼の愛を受けとるので精一杯だった。

あまり積極的だと、はしたないと思われてしまうだろうか? それとも、喜んでくれる?

目を開ければ、ちょっぴりうれしそうに頬を緩ませた彼がいて。

「今夜、澪を連れ帰ってもいい?」

しっとりとした低い声に、私は躊躇いなく首を上下する。

彼は私の唇を思う存分食んだ後、額に名残惜しそうにキスを落として、車のエンジンをかけた。


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