お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「……もう一度、俺の名前、呼んでくれる?」

「え……」

耐え切れず彼女へ覆い被さると、彼女は助手席のシートの上で「きゃっ」と小さく体を縮こませた。

怯えているわけではない、それを象徴するように、彼女は自ら唇を捧げにくる。

恥じらう彼女の口へ舌をねじ込むと、喉の奥から「ぅんっ……」という甘い悲鳴が漏れた。

「柊……一朗……さん」

そのか細い声で名を呼ばれると、余計に食べてしまいたくなる。

「澪」

そろそろ限界だ。この数カ月、ずっと我慢してきたのだから。

警戒する彼女のご機嫌をうかがうように、手を出さず紳士を装ってきたけれど。

……ずっと抱きたいと思っていた。

深く深く口づけた後、この先はここでは無理だと判断し、彼女からそっと体を離した。

濡れて光る彼女の唇を拭い、運転席のドアを押し開けると、正面から回り込んで助手席の彼女を迎えにいった。

「おいで、澪」
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