お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「そんなに強くかんだら、血が出てしまうよ」

キスで口をこじ開けて、歯型のついた下唇を舐めると、惚けた瞳が緩やかに瞬いて、俺を眩しそうに見つめた。

「だって、柊一朗さんが、焦らすから」

「あまりにもかわいい声をあげるから、聞き飽きるまでたくさんいじめてやろうと思って」

悲しそうに眉尻を下げた彼女が、仕返しとばかりに俺の唇にかみつこうとする。

さらりとかわすと、今度こそ泣きそうになって、すがるようにしがみついてきた。

「そんなに焦らなくても、たくさんしてあげるから」

さんざんお預けした口づけを、ゆっくりと、口先だけ、丁寧に与えてやると、うれしそうに頬を赤らめて、くったりと力を失う。

緩慢な動きで徐々に深くしていくと、俺の聞きたかった声が聞けて、たまらず彼女を抱きしめた。

「澪。かわいすぎて、頭がおかしくなりそうだ」

正直な感想を述べると、彼女は恥ずかしそうに、でもふんわりと笑って。

「うれしい」

そう答えて俺の首筋にしがみついてきたから、完全に理性のタガが外れてしまった。
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