お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「確かに立花サンは人気らしいな。かわいい見た目に反して食欲旺盛で、気取らない感じが和むんだと。何人か騒いでるやつがいたな……そいつらの話によると彼氏はいないそうだ」

「……いつも不思議に思ってるんだが、どうして雉名は飲み会にも行かないのに、そういう話題に詳しいんだ?」

「喫煙所で話す」

「はぁー。なるほどな」

俺も煙草を吸った方がいいかな、と思う瞬間だった。

確かに、喫煙者同士の連帯感というものは、日頃、迫害されることが多いせいかとても強固だ。

「……まぁ、わからなくもない。控えめで、いつも笑顔で、かわいらしくはあるな」

雉名の口からするすると出てきた誉め言葉に、俺はギョッとして彼を二度見した。

雉名の目線は相変わらず鉄板で、仏頂面だが、彼女に対し『かわいい』と口にした瞬間、わずかに口元が緩んだ気がする……いったいなにが起こったのかと目を疑った。

「……もしかして、雉名も立花さんがタイプ?」

「別に。客観的に言っただけだ」

「NOとは言わないんだね」

「NOではないな」
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