お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
一瞬、危機感を感じてしまったのは、こういう一見恋愛に興味のなさそうな男が本気になった瞬間ほど恐ろしいものはないと知っているからだ。

まさかもう手を出して――と焦りもしたが、彼女となにかしら関係を持っていれば、彼はここまで口を割らないだろう。自分のことに関しては、ダンマリを貫く男だ。

「横からかっさらってくとか、やめてくれよ。雉名、カッコいいんだから」

「お前に言われても、嫌味にしか聞こえねぇなぁ」

「女の子って、君みたいな悪そうな男に弱いでしょ」

「……そんなに言うなら、やってみるかな」

肉をつまみ上げ、ニッと笑った。牽制しているつもりが挑発してしまったらしく、雉名はそういうタイプの男だった、と反省する。

「いや、本当に邪魔しないでほしいんだけど」

「だったら、お前がうちの会社で働いている二カ月間は手を出さないでやるよ。その後は知らない」

「猶予短!」
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