お見合い求婚～次期社長の抑えきれない独占愛～
「仕方ないだろ。うれしいんだ。澪が俺の腕の中にいてくれる」

「それは……わかりましたから……」

さっきから甘い言葉を連発する彼に、いい加減赤面してたじろぐ。

「私はどこにも逃げたりしませんから……もう、恥ずかしい……」

今から続きを始めたら、明日会社に行ける自信がない。六時に起きて自宅へ戻り、着替えなきゃならないのに。

家に帰ったら、きっと朝帰りを冷やかされるだろう。それはそれで憂鬱だ。

そう考えたら、いっそのことこのまま彼と同棲してしまった方が楽かもしれないなんて考えに思い至り、私はううーんと悩み始める。

私の葛藤を知る由もなく、彼はわかってるよ、この続きは次回、なんて嘆息して腕枕をしてくれた。

「次に会うときまで、楽しみをとっておくよ。おやすみ澪」

「おやすみなさい、柊一朗さん」

彼の温もりに包まれると、途端に眠気がやってきた。さっきまで全然眠くなかったのに、まるで魔法にかけられたみたいだ。心地よくて、溶けてしまいそう。

よくよく考えてみれば、さっきは何度も抱かれながらまどろんだ程度で、たいした睡眠もとれていなかったのだろう。

気づかぬうちに疲れがたまっていたらしく、携帯に元々設定されていた朝七時のアラームが鳴るまでぐっすりと熟睡してしまった。
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