お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「雉名さん、どういう女性が好きなんだろう」

デスクに頬杖をついてポツリとつぶやく上村さん、残念ながらその問いは私にも答えられない。

そういえば、彼、私のことは冷やかすくせに、自分の恋愛の話はまったくしてくれない。

それもフェアじゃないんじゃない? とじわりともやもやが込み上げてきた。私の恋人を知っているのだから、私だって雉名さんの、せめて恋人がいるかどうかくらい聞いたって許されるはずだよね?

「……今度、機会があったら彼女がいるか聞いてみるよ」

「じゃあ、年下は何歳までいけますかって、聞いてきてくれませんか」

「えっ……」

さらりとハードルを上げられて狼狽える。

とはいえ、上村さんのキラキラした期待の眼差しを裏切るのも忍びない。

「先輩、お願いしますね!」

こんなときだけ先輩って呼ぶなんて……都合よすぎだよ、上村さん。

なんだか泣きたい気分だ。先輩って損だなぁなんて思いながら「はい」と首を縦にして大人しく従うのだった。
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