お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「……そういう存在になれるように、頑張ります」

「お願いね。わたくしの代わりにたっぷりと甘やかしてやって。ぎゅっと抱きしめて、頭を撫でてやってちょうだい」

お母さまは私の背中をポンと叩き、よろしくという後押しとともに解放してくれた。

柊一朗さんの元へ戻ると、彼は手を広げて「おかえり」と優しく私をハグした。

ほんの少し離れていただけなのに、彼ったら大袈裟だ。でもそんな私たちを見て、お母さまはうれしそう。

「澪。ひと通り挨拶も済ませたし、部屋へ戻ろうか」

柊一朗さんに肩を抱かれ、パーティー会場を後にする。

振り向けばお母さまは、私たちをいつまでも温かな眼差しで見守っていてくれた。
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