お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「和服はじれったくて嫌だな。早く澪に触れたいのに。もう脱ぎ去ってしまってよ」

「せっかく柊一朗さんが選んでくれたのに」

「澪をみんなに見せびらかせてスッキリした。ふたりきりのときは服なんていらない」

柊一朗さんが私の帯締めに手を伸ばしたから、身の危険を感じてザザッと身を引いた。

彼の艶やかな夜仕様の眼差しが、食事よりも先に私を食べたいと言っている。

「ル、ルームサービス頼みましょう! 普通の服に着替えてきますねっ」

「俺が脱がせてあげようか?」

「ひとりで脱げるから大丈夫ですっ」

慌てて着付けに使った奥の部屋へ逃げ込むと、ドアを閉める瞬間、ちょっぴり残念そうな彼の姿が見えた。

今食べられちゃったら、体力がもたない……!

パーティーと一連の騒動でくたくただ。そろそろひと息つかせてほしい。

クローゼットを覗くと、私が朝着てきた服一式がかけられていた。

それだけではなく、見覚えのないワンピースまで数着用意されている。
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