お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「パーティーに出るだけで立派だなんて、初めて言われたよ」

「私にとっては当たり前のことじゃないですし、それが出来る柊一朗さんは、立派だと思います」

「ありがとう。澪にそう言ってもらえると、誇らしいよ」

バトラーが注いでくれた食前酒を掲げて、私たちは「乾杯」と声を合わせた。

前菜の牡蠣のコンフィはもちろん、白身魚のポワレや、メインディッシュの仔牛のロースト、そして、デザートの盛り合わせに至るまで、綺麗に食べつくしてお腹はパンパンに膨らんだ。

ふんわりしたワンピースで本当によかったと思う。マーメードラインだったら、きっとお腹がぽっこりと出て恥ずかしいことになっていた。

「すごくおいしかったですね! ちょっと、食べすぎてしまいました……」

柊一朗さんも笑って「俺ですら苦しいよ」とお腹を押さえる。

ディナーを終えた後は、ソファに腰掛け、のんびりとコーヒーブレイク。

このコーヒーもかなりのレア品らしく、淹れてくれたバトラーが当ホテル自慢のブレンドだと言っていた。

香り高くコクがあって、パンパンのお腹でもグイグイいけてしまう。
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