お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
谷間に熱い吐息が流れ込んできたから、私は驚いて彼から手を離した。

解放しても彼は、私の胸に顔を埋めたまま、その柔らかさを堪能している。

「お言葉に甘えて、思う存分、澪の体に甘やかしてもらおうかな」

私の胸の丘陵を手のひらで包み込み、その感触を楽しむようにふわふわと頬擦りする。

いやらしい触り方ではないのだけれど、逆にあえてメインディッシュを焦らされているようで、鼓動が勝手に速くなる。

このまま彼を受け入れてしまえば、きっと甘くて幸せな一夜をすごすことが出来るだろう。

それ自体は、うれしい。彼に愛してもらいたい。

……でも、よりにもよってフレンチディナーでお腹がぽんぽこりんになっているときにしなくてもいいんじゃない?

こんなみっともないお腹、見せられない。

「あの……せめて、もう少し後にしませんか? 今はお腹いっぱいで、苦しくありませんか?」

「澪は別腹」

「でも、私、こんなぽっこりしたお腹じゃ――」

「服を脱げないって? じゃあ、お腹は残してそれ以外から食べようか」
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