お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「ま、待ってください、ほら、シャワーも浴びたいですし」

「いいよ。一緒に浴びようか。澪の体を綺麗に流してあげる」

「それじゃ意味ない!」

なんとかベッドインを遅らせようと、頭の中で必死に思案する。こうなるってわかってたら、あんなにたくさん食べなかったのに!

「せ、せめて後二時間、ディナーが消化するまで!」

「大丈夫だよ。どんなにお腹が膨らんでても、笑ったりしないから」

「嘘! 柊一朗さん、私のお腹をみくびってる!」

「大丈夫だって、ほら――」

柊一朗さんが、確かめるように私のお腹に触れた。叩くとポンと予想以上にいい音が鳴って、それはまるでタヌキの腹太鼓のようで。

「プッ――」

思わず顔を伏せて噴いた柊一朗さんに、激しい怒りが込み上げてきた。手近にあった枕を投げつけ、彼の顔面に食らわせる。

「柊一朗さんなんて大っ嫌い!!」

「冗談だよ! こんなことで幻滅したりしないから――」

「来ないで! 私、シャワー浴びてきます! 絶対入って来ないで!」

逃げるようにバスルームへと飛び込んで、鍵をかけて引きこもる。
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