お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「おーい、澪」

バスルームの外から聞こえてくる声を、私は耳を塞いで無視する。

お腹の膨らみが落ち着くまで、もう体に触らせてあげない。ここにこもってやる。

ふと洗面台にある鏡を見れば、はだけた胸元に早速ひとつ、ピンク色の跡が刻まれていて、彼の手の早さと過剰な情愛に、耳まで真っ赤にしてうずくまるのだった。


一時間後。

結局、私は乳白色の湯船の中で、彼に背中から抱きしめられていた。

あたりには色とりどりの花びらが浮かんでいて、周囲はうっとりするようなバラの香りに満ちている。

彼は、バトラーにバラ風呂用の花びらを持ってこさせた。

つまり、私が閉じこもっていたバスルームへ潜入する口実を作ることに成功したのだ。

「つまり澪は、恥ずかしがってただけなんだろう?」

彼の腕の中で、ぶくっと口の上まで湯船に浸かった。

だって、仕方ないじゃない。彼が完璧すぎるんだもの。

もう少し、顔が不細工だとか、下っ腹が出てるとか、なにかひとつくらい弱点があったら、私だってそんなに緊張しないのに。
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