お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「澪が好きだ。愛してる。それが重荷になるって言うならもう言わないけれど、出来れば、澪にだけは素直に気持ちを伝えたい」

静かなバスルームに、彼の言葉と水音だけが静かに響く。私と、彼の鼓動が、トクトクと音を立てて水面に小さな波を作っている。

「男だからね。愛する女性を抱きたいと思うのは当然だ。一分一秒でも早く澪がほしい。お腹が膨れていようが関係ない。そんなもの、かわいいだけじゃないか……わかるだろ?」

彼はずるい。

そんなことを言われてしまったら、許してあげるしかなくなるじゃないか。

なにも反論出来なくなって、きゅっと唇をかみしめる。

じんわりと涙が滲んでしまったのは、彼の気持ちがうれしかったから。

「……今ここで、抱いてもいい?」

「せめてベッドにしてください」

「仕方ないな」

柊一朗さんは私の体を抱き上げて、バスローブで雑に包むと、たいして拭くこともせずバスルームを出た。

私の体に張りついてきたバラの花びらごと、寝室へと運んでベッドの上へと離す。
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