お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
第十三章 俺と結婚して
四カ月後。年が明けて気がつけばもう三月にさしかかっていた。

私は変わらず、新海エレクトロニクスで日々労働に勤しんでいる。

「すみません、あの段ボールお願いします」

「よっ、と」

今日も資材置き場に雉名さんを呼び出して、ラックの一番上の段ボールを下ろしてもらった。

今日の段ボールは一際年季が入っていて、浮かせた瞬間ふわりと埃が舞い散り、思わずふたりして顔を背けてしまった。

一旦床に置くと、段ボールの上部に埃が一センチ、雪のようにちり積もっていて――もちろん、雪のように美しくはないので、顔をしかめるしかないのだが――私は慌てて近くに置かれていた雑巾を表面に滑らせたが、すぐさま雑巾は埃まみれとなり、手がつけられなくなった。

「ここに置いといてもらえれば、私が後でなんとかして運びますので」

「それじゃ荷物持ちの意味がないだろ。このまま総務に運ぶぞ」

「だめですよ、スーツが真っ白になっちゃいます」

雉名さんはスーツのジャケットとネクタイを外し、これでいいだろ、と私の手の中に放った。

ワイシャツを肘まで捲り上げ、眉間に皺を寄せながら段ボールを担ぐ。
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