お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
オフィスに足を踏み入れた瞬間、総務部のデスク座っていた上村さんが、ドアの音に気がついて顔を上げた。
私と雉名さんの姿を目にして、「あ」と小さくつぶやくと、目を逸らすみたいに下を向き、手元の書類をガン見した。
あれから上村さんは度々雉名さんに話しかけては撃沈しているそう。
すっかり傷心モードで、私、嫌われているのかなぁと自信なく呟いていたのは今朝のこと。
私と雉名さんが一緒にいる姿を見ると嫉妬してしまうらしく、今もわずかに顔を赤くして涙目でうつむいている。
もちろん、私には婚約者がいると話したのだけれど、だからって冷静に割り切れるような問題じゃないらしい。
「ふーん……」
雉名さんはなにかを感じ取ったのか、足を止めて、短くつぶやきをもらした。
やがて何事もなかったかのように、総務部の脇に段ボールを降ろす。
「ありがとうございました」
彼はパンパンと腕についた埃を叩いて、私からスーツのジャケットとネクタイを受けとった。
私と雉名さんの姿を目にして、「あ」と小さくつぶやくと、目を逸らすみたいに下を向き、手元の書類をガン見した。
あれから上村さんは度々雉名さんに話しかけては撃沈しているそう。
すっかり傷心モードで、私、嫌われているのかなぁと自信なく呟いていたのは今朝のこと。
私と雉名さんが一緒にいる姿を見ると嫉妬してしまうらしく、今もわずかに顔を赤くして涙目でうつむいている。
もちろん、私には婚約者がいると話したのだけれど、だからって冷静に割り切れるような問題じゃないらしい。
「ふーん……」
雉名さんはなにかを感じ取ったのか、足を止めて、短くつぶやきをもらした。
やがて何事もなかったかのように、総務部の脇に段ボールを降ろす。
「ありがとうございました」
彼はパンパンと腕についた埃を叩いて、私からスーツのジャケットとネクタイを受けとった。