お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「ええと……上村さん、よかったね……?」

私が恐る恐る声をかけると、急にキッとこちらを睨んだ。

「……立花さん! 雉名さんの携帯番号、知ってましたか!?」

「え、知らないよ、内線番号しか」

「……やったぁ……」

うれしさをかみころすみたいに、ふにゃふにゃになりながら付箋に頬擦りをする。

「……よかったね」

「はい!」

とろけそうな笑みを浮かべた上村さんに、斜め前の席に座っていたベテラン社員の山本さんは、フッと小さく口元を緩めて、顔をあげぬまま小さく微笑んだ。
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