お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
寂しさを覚えつつ、ひとり真剣に家具を眺め見ていると。

ソファのコーナーに差しかかったところで、突然、柊一朗さんが「あ」と声をあげた。

「このソファ、置きたいな」

そう言って柊一朗さんが指さしたのは、赤いファブリックソファだった。滑らかな曲線を描く背もたれに、広々とした座面。

私と柊一朗さんがごろんと横たわっても、充分収まってしまう大きさだ。

「この上で澪とイチャつきたい」

「そんな用途で選ばないでください!」

「ふたりで寝転がれるサイズがいいなぁ……」

「大きな部屋ですし、確かにサイズは大きい方がいいと思うんですけど……。じゃあ、これにしましょうか」

途端に彼が目を輝かせる。

「……そういうことはしませんからね!」

先手を打つと、彼は不満そうに口を尖らせて拗ねてしまった。

その表現の豊かさは私に影響されたのだろうか? 昔はもう少しクールだった気がするけれど。

まぁ、どんなにいじけた表情をしても、整った顔では絵になってしまうのだから憎らしい。
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