お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「転職は成功でしたよ。前の会社は、ちょっといろいろあって、合わなかったというか……今の会社で働けて、幸せです。昔より、ずっと」
苦い顔をした私に、彼は瞳を細くする。
笑っている、というか、失笑、という感じで。
「『新海エレクトロニクス』はいい会社だよね。個々の社員のモチベーションが高いし、実際、ここ数年の離職率を見ても、流動の激しいこの業界とは思えない低さを誇っている」
突然、真剣に語り出した彼を私は呆然と見上げた。
「離職率の低い会社を作るのも、経営の大切な課題なんだ。結局財産は金銭や施設だけじゃない、そこで働く人材自体だから。優秀な人材を確保して逃さないためにも、企業のあり方として――」
けれど彼は、絶句している私に気づき、「あ」と言葉を止める。
「――ごめん。こんなこと語られても、困るよね」
「あ、いえ、私の方こそごめんなさい、続けてください」
普段はのらりくらりとしている彼の真面目な一面を目にして、圧倒されてしまった。
私にはそこまで知識がないから、対等に語り合うことはできないけれど、出来ることならもっと聞かせてほしい。
もう少し、彼の真剣な顔を見ていたいな。
苦い顔をした私に、彼は瞳を細くする。
笑っている、というか、失笑、という感じで。
「『新海エレクトロニクス』はいい会社だよね。個々の社員のモチベーションが高いし、実際、ここ数年の離職率を見ても、流動の激しいこの業界とは思えない低さを誇っている」
突然、真剣に語り出した彼を私は呆然と見上げた。
「離職率の低い会社を作るのも、経営の大切な課題なんだ。結局財産は金銭や施設だけじゃない、そこで働く人材自体だから。優秀な人材を確保して逃さないためにも、企業のあり方として――」
けれど彼は、絶句している私に気づき、「あ」と言葉を止める。
「――ごめん。こんなこと語られても、困るよね」
「あ、いえ、私の方こそごめんなさい、続けてください」
普段はのらりくらりとしている彼の真面目な一面を目にして、圧倒されてしまった。
私にはそこまで知識がないから、対等に語り合うことはできないけれど、出来ることならもっと聞かせてほしい。
もう少し、彼の真剣な顔を見ていたいな。