お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
けれど彼は言葉を止め、表情を緩めた。

「つまらない話はやめよう。せっかくのふたりの時間がもったいない」

声からも鋭利さが削げ落ち、人懐こい笑みが浮かぶ。

「つまらなくなんてないですよ。真面目なお話も聞きたいのに」

せっかく普段は見られない新たな一面を発見したのに。これで終わりだなんて残念だ。

けれど、真剣に語ったところで話す相手が私じゃあ、彼の方が物足りないだろう。

「……話し相手になれなくてごめんなさい」

「……というか、立花さんと話すなら、もっと別の話題がいいな」

そう言って、彼は私の左肩に手を回した。

驚いて見上げると、緩く細められた目が私をじっと見つめていて。

その瞳は街灯の灯りを反射して、私を映してはキラキラと輝いている。
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