お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「朝まで一緒にいたいって言ったら、迷惑かな?」

彼の両腕が私の背中に回り、涼しかった初夏の夜が途端に熱気に包まれる。

今日は助けてもらったお礼。ただのお食事のはずだったのに。

こんな不意打ちを食らっては、どうしたらいいのかわからないよ。

「ずるい、穂積さん……どうして急にそんなこと言うの……」

「ずるいのは、立花さんの方だよ。俺の下心を知ったうえで、こんなところまでついてきて、今さらわからない振りをするなんて」

「下……心……?」

「俺は本気だって、言ったよね?」

頬が真っ赤に染まり、隠すようにうつむいた。

けれど、耳までは隠しようがなく、無防備な耳朶にそっとキスを落とされる。

鼓膜を震わせたチュッという淫靡な響きに驚いて、私はびくりと肩を震わせて彼を見上げた。

しかし、軽々しく上を向いたのがいけなかった。

彼はすかさず唇に狙いを定め、自身のそれを押し当ててくる。
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