お見合い求婚～次期社長の抑えきれない独占愛～

「っん……っ！」

抵抗する間もなく唇を塞がれて、私は咄嗟に目をつむった。

視界からの情報がなくなると、いっそう感覚が鮮明になり、柔らかく温かい彼の感触をたっぷりと味わわされてしまう。

こののぼせきった表情を見られているのだと思うと、顔から火が噴き出しそうなほど恥ずかしい。

彼の胸を叩いて、やめてと訴えようとするも、手首を掴まれて、いっそう強く腕の中に閉じ込められた。

「んっ……穂、積、さ――」

「嫌だったら、本気で抵抗してごらん？」

私の腰と手首に回した手の力が、ほんの少し緩む。

本気で暴れて逃げ出そうと思えば、出来る力加減。

「嫌だ」と力いっぱい叫べば、きっとやめてくれるだろう。

けれど、私をついばむその唇は甘く、撫でる舌はしっとりと心地よい。

私の混乱しきった頭は甘美な誘惑に陥落寸前だ。

休む間もなくキスは紡がれ、角度を変えて、幾度となく重なった。

抵抗しなかった私を肯定だと判断した彼は、唇を乱暴に食み、隙間をこじ開けるかのように舌を差し入れる。