お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「で、この荷物を総務部に持っていけばいいのかな?」

「ありがとうございます。後は私が」

「立花さんって、結構強情だよね。頼ってくれって言ってるそばから」

そうしなやかに言い放ち、段ボールを抱えて歩き出す彼。

資材置き場と化したこの通路は、フロアの一番奥にある。

来客対応のため、玄関から一番近い場所に位置している総務部とは端と端。

ここからだと、長い廊下を突き進み会議室を数部屋分通り越した先にやっと総務部の正面に通じるドアがある。

私は自席から運んできたパソコンチェアの背もたれを押しながら、彼の横について歩いた。

「立花さんと話をするの、久しぶりだね。今週は外出が多くて、ここと客先を行ったり来たりしていたから」

久しぶりって。まだうちの会社に出向してきて二カ月も経っていないのに、もう我がもの顔であることに笑ってしまった。

彼とはなんだか一年くらい一緒にいる気がする。顔を合わせる機会が多いからだろうか。

「全然久しぶりじゃありませんよ。穂積さん、毎日総務部に顔を出してくださるじゃありませんか」
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