お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
玄関を出て、エレベーターへ飛び乗り、マンションを出ると外はひどい雨。

駅までの道もわからなかったから、近くに止まっていたタクシーをすぐさま捕まえて飛び乗った。

後部座席に座って、バッグをぎゅっと抱きしめる。私の心はひどく虚ろだ。

……どうして、こんなことに。

あきらめきれない恋心と、あきらめなきゃならない現実。

とにかく、昨晩の出来事を早く忘れなければ、と刷り込むように頭の中で繰り返した。

騙し騙し付き合うことも出来たのかもしれない。

けれど、いつかはバレることだから。これ以上傷口を広げてしまう前に離れた方がいい。私の選択は正しかったはずだ。

そう自分に言い聞かせながらも、全然納得出来ていなくて、今にも涙があふれ出そうだった。
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