お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
当日は、きっと振袖で胸を締めつけられて、全然食べられないだろう。成人式のときもそうだったからよく覚えている。

それ以来、結婚式とか、高級ディナーとか、いっぱい食べたいときは洋装で行くって決めていたのだけれど。

「でも、もし、ものすご~いイケメンが来たらどうします? それこそ、穂積さんみたいな」

「ないない。そんなに世の中甘くないよ」

だって、ちゃんとした写真も身上書も、なにも見せてもらえないくらいだもの。ろくな相手じゃないだろう。

ただし、超高級料亭で行われることだけは決まっていて、相手がどうしてそんな場所を指定してきたのか、謎は深まるばかりだ。

とりあえず会うだけ会って、そこから先どうするかは、私の自由にしていいって言われている。

即、断ろう。キッパリ、ハッキリ、結婚する気はありませんって宣言しちゃおう。

それから、ひとり暮らしを始めよう。父や母には、彼氏が出来たとかなんとかごまかして。もう二度とお見合いの話なんか持って来られないようにしよう。

ぎゅっと拳を握りしめ、固く決意するのだった。

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