お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
第五章 成婚率50%のお見合い
翌週の日曜日。

振袖とともに目一杯飾り立てられた私は、両親に連れられ、都内にある高級料亭へ足を運んだ。

門をくぐると竹垣に囲まれた敷石の通路が続いていて、わずかに湾曲した道の先に立派な日本家屋が建っていた。

家屋の左、竹垣の通路の反対側には広々とした日本庭園が広がっていて、池と築山、そして松やもみじなどの丁寧に剪定された木々が趣たっぷりの情景を作り出している。

入口で着物姿の仲居に名前を告げると、通されたのは一番奥にある個室。

おそらく、日本庭園が一番よく眺められる、最上級のお部屋だ。息が詰まるほどお上品。

約束よりも三十分も前に到着してしまったのは、両親の緊張と気合いの表れである。

もちろん相手方はまだ来ていない。私たちは、下座に正座して、じわじわと迫りくるご対面の瞬間を待った。

「で、結局、その男性っていうのはどんな方なの?」

足をそわそわと組み替えながら、声をひそめて父に尋ねた。

お相手が到着する前に、足が痺れてしまいそうだ。いっそ、伸ばしてしまおうか。

しかし、そんな姿を見られようものなら、真っ先にお見合いを断られてしまいそう。

……まぁ、それこそ、希望通りの展開ではあるのだけれど、両親には猛烈にどやされるに違いない。
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