お見合い求婚~次期社長の抑えきれない独占愛~
「本当は、身上書も写真もちゃんともらっている。けれど、今日この日、顔を合わせるまでは、どうしても澪には伝えないでほしいと言われて」
「なに……それ……意味がよく……」
「父さんも、おかしいとは思ったんだ。だが、こんなに素晴らしい方とのお見合いは、今後二度とないだろうから、とにかく、澪に会わせるだけ会わせてみようと――」
「待って、その人は誰なの……?」
ぞくりと、背筋に痺れるような悪寒が走り抜けたのは、第六感だろうか。
父は、ふっと短く息を吐き出すと、観念したかのように肩を落とした。
「社名は、『日千興産』――昔、お前が働いていた会社だな。社長の息子さんで、現在は専務をしている。いずれ父親の跡を継いで社長となるそうだ」
サッと血の気が引き、目の前が真っ暗になった。
日千興産の専務……それって……まさか。
「……お父さん。ごめん。私、帰る」
立ち上がった私の手を、咄嗟に両側に座っていた父と母が掴む。
「ちょっと待ちなさい! せめて会ってから――」
「私……その人には会えない!」
「なに……それ……意味がよく……」
「父さんも、おかしいとは思ったんだ。だが、こんなに素晴らしい方とのお見合いは、今後二度とないだろうから、とにかく、澪に会わせるだけ会わせてみようと――」
「待って、その人は誰なの……?」
ぞくりと、背筋に痺れるような悪寒が走り抜けたのは、第六感だろうか。
父は、ふっと短く息を吐き出すと、観念したかのように肩を落とした。
「社名は、『日千興産』――昔、お前が働いていた会社だな。社長の息子さんで、現在は専務をしている。いずれ父親の跡を継いで社長となるそうだ」
サッと血の気が引き、目の前が真っ暗になった。
日千興産の専務……それって……まさか。
「……お父さん。ごめん。私、帰る」
立ち上がった私の手を、咄嗟に両側に座っていた父と母が掴む。
「ちょっと待ちなさい! せめて会ってから――」
「私……その人には会えない!」