180センチ以下は認めない
「先生、斎藤さん大丈夫ですか?」
「かっ、加藤?」
病室に私がいたことを初めて気づいたようで、宮野先生が驚いた顔をしている。
「斎藤さんとお話ししてたら、急に嘔吐されまして。」
「白衣、脱げ。」
「脱ぎたいのはやまやまですが、白衣の下はタンクトップしか着てないので、このままで、行きます。」
ナースが貸してくれたタオルで嘔吐物をできるだけとって、薬局に戻ると伝えた。
「バカか!脱げ」
そういって、宮野先生は、私の白衣のボタンを外しにかかる。
「待って待って。やめてください。」
私は、白衣の前をかきあわせ、体をねじらせた。
「先生、それは」と、ナースもあせった声で、制止した。
「あっ、悪い!」
はっとして、手を放した宮野先生。
自分の白衣を脱いで
「とりあえず、これを着ろ。」と、脱いだ白衣を、渡しにかけて、手を引いて部屋から出した。
「先生、白衣ありがとうございます。洗ってお返ししますね。」
「薬局にシャワーはあるのか?」
「ありませんよ。でも!白衣の替えはありますので」
「じゃあ、来い!」
宮野先生に手を引かれて来たのは、医局の仮眠室。隣にシャワーがあるらしい。
シャワー室に押し込まれ、近くのロッカーから取り出したドクターのユニフォームと、タオルを私に押しつけた。
「えっ。いいですよ。」
「早く浴びてこい!不細工が汚れて余計に不細工になってる。」
「しっ、失礼ですねー。じゃあ、シャワー使わせていただきますね。」