迷惑なんて思ってないよ
芝の中は道のような暗い洞窟になっていて、私と晴人は入るのを躊躇った。凛太郎くんも慶太郎くんに何か注意しているみたいだったけれど、押しに負けているようだった。

「慶、非常用だって教えたよな?」

「大丈夫、大丈夫!今は凛の恋が破れるかどうかの非常事態だって!他に案があるなら話は別だけどなー」

「っ!・・・無い、けど・・・」

下に降りるための階段は無いみたいだけどいったいどうやって。私と晴人が中を覗き込んでいると、手を握って離さないでと呟いた凛太郎くん。私の手を握ったまま、穴の中に飛び込んでしまった。
< 103 / 260 >

この作品をシェア

pagetop