迷惑なんて思ってないよ
もちろん、私も凛太郎くんに引かれて飛び降りてしまう事に。私の手を掴もうとした晴人も一緒に落ちてしまった。手を掴もうとしても中々掴まえる事が出来なくて。明るい所に出た頃には慶太郎くんともはぐれてしまっていた。
凛太郎くんに連れられながら二人きりの廊下を歩いていると、どこに落ちたのか説明してくれた。心配されるほど不安そうな表情をしていたのかなとも思ったけれど、凛太郎くんの気遣いに気持ちが楽になったのも確かで。

「あの穴は理事長が使っていた抜け道でさ。入学した時に本当に困った時にだけ使うようにって言われていたんだ」

「そうだったんですね。・・・どこに続いているんですか?」

「俺ん家。たぶん、晴人くんは慶と一緒のはずだからすぐ合流出来ると思うよ」
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