迷惑なんて思ってないよ
「そう言う慶はどうなんだよ」

「俺は良いだろー、どうだってー」

慶太郎が三年生という中途半端な時期に転入してきた理由。父が借金の返済のために理事長に売ったんだ。育てさせてやるから借金を払えって。
慶太郎はどっちでも良いと言った。母の遺産目当てで自分を引き取った父親を快く思っていなかったし、俺よりも酷い人間不信だったから。
ただ、慶太郎が理事長の家に来たのは三年前。理事長が経営する通信の高校の方に入学していたんだ。
俺や理事長と話すようになって少しは症状も軽くなって。元々、人間不信から来る空元気だったんだけど今はただの元気。たまに鬱陶しくなるけど、慶太郎が元気になった証拠だし大目に見る事にしている。
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