迷惑なんて思ってないよ
伊野先輩といる時くらい、俺の事なんて心配しなくても良いのに。だって俺は姉ちゃんさえいてくれれば何でも良いんだから。まぁ、本人からしたら一番困る答えなんだろうけど。

「結華ちゃーん、晴人くーん。そろそろ行くよー」

「はぁーい、今行きまーす。本当に大丈夫だよね?」

「大丈夫だって!行こう!」

姉ちゃんの手を握るのは弟である俺だけの特権なんだって思っていた。姉ちゃんの手はずっと俺が繋いで離さないんだって。確りしているように見えて頼りない姉ちゃんの手を引くのは俺の役目なんだって父に教えられてきたから。
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