迷惑なんて思ってないよ
今まで結華ちゃんのいる時間だけが晴人くんの全てだったんだろう。結華ちゃんがいれば大丈夫、いてさえくれれば心が生きられるんだって。気持ちを代弁してくれる人が結華ちゃんしかいなかったから。気持ちを理解してくれる人が結華ちゃんしかいなかったから。

「じゃあ今から俺の事は慶先輩な!」

「北条先輩は北条先輩です」

「いーや!ダメだ!慶先輩になるまで観覧車乗り続けるぞー!」

「明日になっちゃいますよ」

今はもう、自分の口で気持ちを伝えられる。だから俺に笑いかける事が出来る。晴人くんの進歩に結華ちゃんは泣いて喜ぶんだろうな。
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