迷惑なんて思ってないよ
柏崎さんは俺と慶太郎の違いをちゃんと分かってくれているんだ。ちゃんと違いを知ってくれているんだ。
思い返して見れば理事長でさえ喋っていなかったら俺と慶太郎の見分けが付かない。俺たちでさえ、鏡に写った自分を見間違える事があるくらい瓜二つだ。よく見れば俺が二重で慶太郎が奥二重くらいの違いか。後、俺の方が少し鼻が高くて慶太郎の方が俺より童顔だ。
特に、寝起きの顔ほど俺たちの見分けの付かない物はない。高校の教師や生徒だって、髪の長さで見分けている人がほとんどだ。

「よく見てるね」

「着眼点が変なんですよ、きっと」

絶対に違う。着眼点が変なだけならもっと気付かれても良いはずだ。なのに、彼女だけは違う。
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