迷惑なんて思ってないよ
面白味が無くてお互いになりすまして高校に行った時も一目見ただけで俺と慶太郎の違いが分かった。それも百発百中。競技場から二階にいる彼女に手を振っただけでも分かってくれる。本人に言わせれば癖が違うらしいけど、どれだけ似せても分かってしまうのはきっと彼女にしか分からない本当の理由があるんだ。

「慶がごめんね」

「いいえ。慶太郎くん、晴人に会いたいのではありませんか?」

「待って!何で!?」

携帯の裏に耳を付けて聞いていた慶太郎が柏崎さんの問い掛けに問い返していた。会いたいという一言だけで晴人くんの名前が出てくるのでさえ不思議なのに、当たっていたとしたらもっと奇妙な話になる。
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