迷惑なんて思ってないよ
引かれていない事だけが今の救いだ。周りの奴らのように完璧で口数の少ない印象しかないと思っていたから、見損なったとか呆れられて嫌われてしまったとばかり。

「・・・昨日はあのままあのお婆さん家に?」

「うち、両親いないですから」

「・・・俺と一緒だ・・・」

だから似てると思ったんだ。一方通行であったのかもしれないけれど、彼女と関わっていく中で何処と無く、何かが似ていると感じていたんだ。そっか、そこだったんだ。家でも遠慮して、高校でも遠慮して。両親の墓参りに行った時しか穏やかに時間を過ごせない。じゃああの男は唯一本音を出せる相手。だからあんな笑顔を見せていたのか。
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