迷惑なんて思ってないよ
肩を撫で下ろした二人を外から見えにくい席に呼んだ。大学でも追われているのなら店に来てくれるのは本当に今日だけかもしれないな。冷たい水とお品書きを置くと、息を切らして帰ってきた晴人が裏から出てきた。二人が卒業して、晴人が追われるようになったらしい。

「少し休めた?」

「お客さんいないの?」

「えっ・・・、あれ・・・?」

二人に座ってもらった席を見ると、半分になった冷水が置かれているだけだった。
私の幻覚?それとももう帰ってしまったの?
状況を把握できないでいると、いつものように晴人が後ろから抱き着いてきた。最近、多くなったな。
< 163 / 260 >

この作品をシェア

pagetop