迷惑なんて思ってないよ
次の日の事なんか忘れて思い出という過去を全て喋った。私を置いて出ていった母から私を守ってくれた話も。
母は私の育児に疲れて不倫した。一時的な気の迷いだと謝ってくれれば、父は許すつもりだったらしい。私がまだ幼くて自分一人じゃ面倒を見切れないと自信がなかったから。でも、母は謝らなかった。言う事を聞かない私が悪いんだと責めた。私が言う事を聞かないから、私が母を愛さないから。
赤ん坊の頃だったから覚えていないけれど、私は母を愛していたと思う。父の話を聞くに、私を愛していないのは母の方だった。私が産まれる前から不倫癖のある人だったと父は言っていた。知っていたからこそ、謝罪してくれれば許すつもりだったと。
両親は離婚した。でも、不倫相手も母と結婚する気がなかったらしい。事実を知った母は父と再婚できないか持ち掛けてきたそうだ。自分も騙されていたんだと。私と不倫相手が離婚させるよう仕向けたのだと。
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